北山物語 第一話 ー伊藤博文からの感謝状ー
全国に新鮮な海産物を届ける北山水産は、伊勢湾に面する三重県津市河芸町にあります。 近隣の浜は伊勢湾で最も幅の広い海岸を持つことで知られ、今もウミガメが産卵に上陸する美しい浜です。
同地に北山の屋号が挙がったのは大正元年。 創業者は現会長・三井芳治の祖父・三井栄吉でした。 河芸の農家・三井家に生まれた栄吉は、昔の日本人らしい真面目で実直な人物だったと伝えられています。
青年期には海外進出著しかった当時の国策に従って、仕事を求めて韓国への渡航も経験しました。 韓国へ向かう船旅の途中、栄吉は神仏の巡り合わせか難破した旅客船を発見します。 海面に船客が漂うのを見てとり、他の乗客と力を合わせて救助にあたったのです。
その後、その功績が認められ、後の初代内閣総理大臣・伊藤博文から感謝状を賜りました。 帰国した栄吉は、故郷で北山水産を興すことになるのですが、現在のような総合水産加工会社となるには、まだしばらくの年月が必要でした。
続く…北山物語 第二話 -歩き始めた北山水産-
|